温泉へ行こう!(番外編その2)
 


 
 
 
 
 
 
相当ドタバタしつつも、
蓉子と祐巳が甘ったるい温泉旅行を満喫していたその頃、見渡す限りの銀世界で祥子は目覚めた。
 
 
 
 
「・・・ここは・・・・どこかしら・・・・?」
「・・・・あら、お目覚め祥子?」
「あぁ、江利子さ・・・・ひぃっ!?」
 
 
 
 
呼ばれて祥子が振り返ると、どす黒いオーラを纏った江利子が、そこにいた。
 
 
 
 
「え、江利子さま、その、手元の物体は・・・・」
「あぁ、これ?ただの『粗大ゴミ』よ」
 
 
 
 
粗大ゴミ、と言い放つ江利子の左手にあるのは、
江利子にしこたま殴られたらしい聖のなれの果てであった。
ぴくぴくと動いていることから、生きていることは確かだが、間違いなくマリア様の御許一歩手前だと思われる。
宣言通り、江利子の拳が光って唸った結果であった。
 
 
 
 
「粗大ゴミはいつから動くようになったんですか・・・・・」
「今さっきからよ」
「そ、そうですか・・・・・」
 
 
 
 
粗大ゴミ論はばっさりと切り捨てられたので、どうにか話題を変えられないかと、
祥子が一言も発しない親友とその妹を振り仰ぐと、そこには生ける屍その2と、その3が鎮座していた。
 
 
 
 
「れ、令?由乃ちゃん?」
 
 
 
 
外傷が無いため、聖のように江利子の鉄槌を受けたわけではなさそうだが、二人とも泡を吹いて気絶していた。
その表情は見てはいけないものを見てしまったことを、言葉より雄弁に物語って
いた。
聖が粗大ゴミになるまでの過程は、それほどすさまじかったのである。
 
 
 
 
「あらあら、令も由乃ちゃんもだらしないわね。聖に向かってちょっと怒っただけなのに・・・・うふふふ・・・・・」
「・・・・はっ!!そうだわ、祐巳!祐巳はどこなの!?」
 
 
 
 
生死の境を彷徨うほど殴り飛ばすことの、どこがちょっとなのかは甚だ疑問ではあるが、
それを口にするのは身の危険を伴うため、半ば無理矢理思考を切り替えるかのように、祥子は最愛の妹の名を呼んだ。
 
 
 
 
「あぁ、祐巳ちゃん?いるわけないでしょ、こんなところに・・・・・」
「こんなところって・・・・そういえば、ここはどこなんですか江利子さま?」
「さぁ・・・・どこかしらね」
「どこって・・・・旅館に向かっていたのでは・・・・・?」
「向かってはいたわよ、でもこのバカ聖が・・・・!」
 
 
 
 
その呟きと共に聖を睨み付ける江利子。
今にも締め殺しそうな勢いである。
 
 
 
 
「聖さまが・・・・?」
「簡潔に言うとね、こいつの案内が間違ってて、道に迷ったのよ」
「迷うって・・・・カーナビとかは?」
「こいつの車に、そんなハイテクな物があるわけないでしょう」
 
 
 
 
そういえば乗るとき確かに目にしなかったような、と祥子は思うものの、
乗車後僅か10分で旅立っていたため、カーナビどころではなかったというのが正直なと
ころだ。
 
 
 
 
「あの、それでもここでジッとしていても仕方がないのでは?」
「・・・・だって動けないんですもの」
「・・・・・は?」
「祥子、気づいてないみたいだけど・・・・ここ、雪の中よ」
「ですから雪原の真ん中にいても・・・・・」
「違うわよ、雪原じゃなくて本当に『雪の中』なのよ」
「雪のな・・・・え?」
「信じられないのなら、そこのドアを開けてみなさい」
「ドアをですか・・・・って、あ、開かない!?」
 
 
 
 
ガチ、っと音がして、微かに動くものの、ドアはそれ以上開かなかった。
 
 
 
 
 
「回り中雪の壁状態だもの、車を走らせるどころか外にも出れないのよ」
「ど、どうしてこんな事に・・・・・」
「知りたい?ふふふ・・・・そう、知りたいの・・・・・」
 
 
 
 
そう言って怪しい笑みを浮かべる江利子。
 
 
 
 
「いえ、あの、仰りたくないようでしたらそれでも・・・・・」
「いえ、聞いて。というか、むしろ聞け」
 
 
 
 
とまで言われて聞いた事の子細は・・・・・やはり聖が原因だった。
 






 
「ちょっと聖!?全然まともな道に出ないじゃいの!」
「あれ〜?おかしいな〜?」
 
 
 
 
どれだけ進んでも舗装された道にはならず、
むしろどんどん険しくなって険しくなって行く中、江利子達は車を走らせていた。
 
 
 
 
「おかしいな〜、じゃないですよ聖さま!いつになったら旅館に・・・・うっぷ」
「よ、由乃、あまりしゃべらない方が・・・・・」
「んー・・・・いや、この道で大丈夫だよ!」
「ちっとも信用できな・・・・って、勝手にアクセル踏み込まないでよ!?」
「大丈夫だってば!この坂を越えればパラダイスはすぐそこだー!!」
 
 
 
 
そうしてスピードを上げ、一気に坂を駆け上がる。

そして坂を越えた先には・・・・!?

道が無かった。
 
 
 
 
「・・・・あれ?」
 
 
 
 
車は空中で一瞬静止しそして・・・・・落ちた。
 
 
 
 
ひゅ〜〜〜・・・・・ボスッ!!
 
 
 
 
 
「・・・・・」

「「「・・・・・聖(さま)」」」

「あー・・・・・ごめん、落ちちゃった♪」
 
 
 
「このあほんだらぁー!!!」

「ごふぅっ!!?」
 
 





「・・・・と言う訳なのよ」
「よく生きてましたね、私達・・・・・」
 
 
 
 
祥子の言う通り、一歩間違えば全員生きてはいなかっただろう。
もっとも、すでに十分間違っているし、
自らの言葉通り、パラダイス(天国)の門を叩きかけている者もいるのだが。
 
 
 
 
「あぁそうだ祥子、とりあえず小笠原に救助要請をしてほしいんだけど」
「はっ!そうですわ、早くここから出て祐巳の元へ行かなければ!」
「それは・・・・無理なんじゃないかしら」
「え?な、なぜですか江利子さま!?」
「なぜって・・・・遭難してから丸一日経ってるんだもの」
「丸一日・・・・そ、それでは祐巳は・・・・・!?」
「そうね・・・・今頃蓉子の腕の中でしょうね・・・・・・」
 
 
 
 
本来の目的を思いだし握り拳を作る祥子。
しかしその熱意は、江利子の言葉で完膚なきまでに打ち砕かれた。
 
 
 
 
「ゆ・・・・ゆみぃぃぃーーー!!!」
 
 
 
 
最愛の妹を呼ぶ声は無情にも、美しい銀世界に虚しく響くだけなのであった・・・・・
 
 
 
 


あとがき(言い訳)

お待たせいたしました、温泉へ行こう!番外編その2UPです!!
本編で素晴らしいバイタリティを見せてくれた彼女達ですが・・・・・・
リクSSで邪魔が成功してはリクじゃなくなってしまうので、強制排除されてしまったのです!(をぃ)
そして行き着いた先は銀世界・・・・可哀想に(ぇ)

(江)「そう思うならなんとかしなさいよ!!(怒)」
(祥)「そうですわ!私の祐巳を返しなさい!!(怒)」

(無視)さてさて、連日仕事で休日も出勤なキッドですが、次回その3はまだ登場してきてないあのお二人のお話です。
    短めの予定ですが、原作同様糖分120%でお送りいたしますので、お楽しみに!!

(江・祥)「ちょっとーーっ!!?」


なにやら雑音が聞こえますが気にしない(殴)それでは皆様ごきげんよ〜(キ^^)ノ(脱兎)


PEROさんへ 相変わらず好き勝手にキリ番SSを書いててすみません( ̄▽ ̄;)
      15000HIT分ではようやくあの子達を登場させられそうですんで、もうしばらくお待ちくださいませ〜。
      あ、でも他に読みたい傾向があればご指定くださいませm(_ _)m
      出来は毎回こんな感じで申し訳ありませんが、頑張って書きますので!ではでは〜♪


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