変わらない関係

 
 
 
 
 
 
 
 
 
うちは今悩んでいることがあるんやけど・・・。

「はぁ・・・」
「どうしたの?木乃香?ため息なんてついちゃって」

自分の席でため息をついとったら、アスナが心配そうに話かけてくれた。
うちは視線を飛ばし、アスナにうちの視線の先をみした。

「あらら〜、刹那さんもてもてね」
「そうなんよ。せっちゃん、さっきから楽しそうにしゃべってるんや」

そう、うちの視線の先では、せっちゃんが楽しそうにしゃべってるん。


「刹那さん、今度報道部でスポーツ特集を組むんだけど、剣道部の様子も取材させてもらっていいかな?」
「はい、今度部長に聞いておきますね」
「刹那、今度私と手合わせするアルね」
「はい、ぜひよろしくお願いします」
 
 
 
 
 
「あら〜刹那さん、もてもてね。刹那さん、すごく楽しそう」

アスナの目にもそう見えたみたいや。
うちはわざとらしくため息をついてみた。

「うち、せっちゃんがみんなとなかようしとるのはいややないんや。でも、うちの前以外で、あんな表情みせんでほしい」
「ヤキモチ?木乃香も刹那さんがみんなと仲良くしていたほうがうれしいんじゃないの?同じクラスの仲間なんだし」
「それもそうやけど・・・」

うちもせっちゃんがみんなとなかようしてくれるのはうれしいと思うよ?せやけど、せっちゃんのうれしそうな顔、うち以外にみせとうないんや・・・。でも、これってうちのわがままなんかな?

「お嬢様、帰りましょう」

さっきまで楽しそうにしゃべっとったせっちゃんが、いつのまにかうちの前におった。
うちはふと時計をみた。・・・もうこんな時間になっとったんや。

「そうやね、帰ろうか。アスナもかえらへん?」
「んー、パス。今日はエヴァちゃんの別荘に行くつもりだから。そうそう、ネギも今日は帰らないって言っていたよ。だから・・・ごゆっくり、刹那さん」
「はい?」
「もう、アスナ!何ゆってるの?」

うちはアスナの言葉に、少し慌ててしもうた。ごゆっくりって・・・せっちゃん変な風に思ってなければええんやけど・・・。
せっちゃんは、不思議そうな顔をしとる。・・・アスナのゆってる意味わかんなかったようやな。

「・・・ん、まあせっちゃんかえろ。アスナも、あまりエヴァちゃんに迷惑かけたらあかんよ」

うちはかばんを持って、席から立った。
そして、せっちゃんと一緒に寮への帰路についた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「では、お嬢様。また明日の朝お迎えにあがります」

うちとアスナの部屋の前、せっちゃんの部屋はこのもっと先になる。
せっちゃんはうちに背を向けて、部屋の方に向かおうとした。

「せっちゃんまって。お茶、のんでいかへん?」

うちは確かめたいことがあって、せっちゃんの肩をつかんで引き止めてしもうた。
せっちゃんは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに微笑んでくれた。

「ええ、お嬢様の入れてくださるお茶は美味しいのでご馳走になります」
「じゃあ、なかにはいって」
「はい、お邪魔します」

うちはせっちゃんを部屋にあげた。
そして、せっちゃんのためにお茶の準備をはじめた。
その間、せっちゃんは礼儀正しく座っておる。
・・・うーん、やっぱりせっちゃんはうちの前ではかわんないな・・・。

「せっちゃん、お待たせ」
「ありがとうございます。お嬢様」

せっちゃんはそうゆって、カップに口をつけた。
うちもお茶を飲んで落ち着いたんで、聞いて見たいことをせっちゃんに聞いてみた。

「なあせっちゃん。せっちゃん、京都の修学旅行のあとから、クラスのみんなとよーしゃべるようになったな?」
「えっ?・・・そうですね。あの旅行以降、皆さんが積極的に話しかけてきてくれて、皆さんと仲良くなれたような気がします」
「そっか〜・・・せっちゃんとみんなの関係は変わったっちゅうことやな」
「ええ、うれしい限りです」

せっちゃんはうれしそうに笑ってた。
せっちゃんがうれしいなら、うちもうれしいのに、何故か上手く喜ぶことができん・・・。

「なあせっちゃん。せっちゃんとうちは修学旅行以降何かかわったんかな?」

クラスのみんながせっちゃんとの関係が変わったんなら、うちとの関係も変わったんやないかな?
そう、うちとせっちゃんの関係。
せっちゃんは少し考える素振りを見せたけど、すぐにいつもの優しい微笑を浮かべた。

「私とお嬢様は変わりませんよ。今も昔も・・・」
「っ!?」

せっちゃんの一言。
うちに物凄い衝撃が走った。
せっちゃんがそんなことゆうなんて・・・何かの間違いかもしれへん。
うちはもう一度きいてみた。

「せっちゃん、ほんまにうちとの関係はかわらへん?」
「ええ、変わりませんよ」
「ほんまにほんま?」
「ほんまですよ、お嬢様」
「・・・そっか―――」

急に目じりが熱くなっていくのを感じた。
やばい・・・泣きそう・・・
せやけど突然泣きだしたら、せっちゃんも困ってしまうから、うちは泣き顔を見せへんように下を向いた。

「お嬢様?」

前から、せっちゃんの不思議そうに問いかける声が聞こえた。
うちはその問いかけに答えることができず、ただただうつむくだけやった。
せっちゃん、うちの気持ちを悟って、早く部屋にかえってぇな・・・・

“ふわっ”

突然、背中にぬくもりを感じた。と、同時に耳元に直接声が響いた。

「お嬢様、私はずっとお嬢様と一緒にいますよ。それは、幼少から変わらないことです」
「せっちゃん?」
「今も変わらず、お嬢様と一緒にいます」
「せっちゃん・・・」
「そして、これからずっと変わらず何年、何十年一緒にいます」
「せっちゃん!!」

せっちゃんの言葉。うちは思わず、後ろを振り向いた。
うちの向いた先には、優しい眼差し浮かべている、せっちゃんがおった。
うちはそのまま、せっちゃんの首に手を巻きつけ抱きついた。

「せっちゃん・・・今の言葉、ほんまなん?」
「ええ、本当です」
「・・・ほんまに、ほんま?」
「はい、ほんまです。・・・・・・このちゃんさえ嫌やなければ、うちはずっとこのちゃんと一緒におりたいんや。このちゃんとかずっと一緒にいる、かわらん関係。・・・・・このちゃんは変わらん関係はいやなん?」

せっちゃんの久しぶりに聞く京都弁。
うちはせっちゃんの言葉にうれしくなって、さらにせっちゃんをつよう抱きしめた。
そして、せっちゃんの耳元で返事をした。

「・・・これからも、変わらず、一緒にいてえな?」

うちはそうゆって、そのまませっちゃんの耳たぶに口寄せた。
ほんの少したったら、せっちゃんの耳たぶはみるみると赤くなってった。
そして小さな声で「ずっと一緒です」とせっちゃんが囁いたのが聞こえた。

・・・・・・変わらない関係、ってのもええなぁ。
 
 
 
―――――終り
 
 
 
 
おまけ――――

「なぁ、せっちゃん・・・少し、関係を進展させへん?」
「へっ?・・・うわっ!!」

抱きついとったままのせっちゃんの身体を、うちのほうへ引きよせた。
せっちゃんは突然のことで、身体が対処できんかったようで、そのままうちのほうへ倒れこんできた。
となると、必然的に・・・もうわかるよね?

「やん、せっちゃんに押し倒されてもうた」

そう、せっちゃんがうちを押し倒しているような体制になってしもうてる。
せっちゃんは、うちの上でプチパニックを引き起こしとる。

「あの・・・その・・・お嬢様・・・あっ・・・すぐに・・・退きます・・・」
「せっちゃん退かんでいいんよ。やから、進展しよ・・なぁ?」
「あ・・・あの・・・進展って・・・」
「もう、せっちゃんのにぶちん。うちにもっと話させる気やの?・・・・・・せっちゃんはこのまま、うちの顔に近付けばええだけやよ」
「近付くって・・・んなことしたら、このちゃんと、き・・・き・・・キス、してまうことになってまうやん。・・・あかんて・・・あかんよ、このちゃん・・・」

顔を真っ赤にして茹でタコみたいになってる、せっちゃん。もう、ほんまにかわええなぁ。
ヘタレなせっちゃんのためにうちがもう一押ししてあげるな。

「なあ・・・せっちゃん。今日、アスナもネギ君もかえってこーへんから・・・な?しよ?」

うちは、せっちゃんに抱きついたままの腕に少しだけ力を入れた。
せっちゃんは決意したように、引っ張られた反動のまま、少しずつうちの顔に近付いてくれている。
すでに目を閉じている、せっちゃんの顔がうちに迫る。
あっ、せっちゃんまつげながいんや・・・。
もう少しでせっちゃんの唇に触れそうになったから、うちも目を閉じた。

「せっちゃん・・・」
「このちゃん・・・」

あとほんの少しでせっちゃんに触れられる・・・
 
 
“がちゃっ、バタン!”
 
 
「木乃香〜エヴァちゃんに追い出されちゃったー・・・・・・・あっ」

アスナが突然帰ってきたことによって、せっちゃんの動きが止まってしもうたので・・・キスしてもらえへんかった。

「あ・・あはっ・・ごめん、木乃香、刹那さん。・・・うん、私に気にせず続きやっちゃってよ」
「続きゆうても・・・せっちゃん?」

うちはせっちゃんの方をみた。
せっちゃんはすでにうちの上から退いとって、顔を真っ赤にして窓際におった。

「あ・・・あの・・・アスナさんも帰ってきたことだし、私は失礼します・・・・・御免」

せっちゃんはそのまま窓から飛び出して行った。
うちはゆっくりとアスナの方に振り向いた。

「アスナ・・・・・」
「ご、ごめん、木乃香。まさか・・・最中だとは思ってなくて・・・」
「今日、エヴァちゃんとこいくってゆったやん・・・・せやから・・・」
「や、行って来たよ。行ってきたけど・・・追い出されちゃって・・・」
「せっかく、せっちゃんをその気にさせたのに・・・アスナの・・・アスナの・・・」
「こ、木乃香さん??」
「アスナの・・・アホーーーー」

うちは取り出したトンカチでアスナを思いっきり叩いた。

もう・・・うちとせっちゃんの関係が進展するの、いつになるんやろ・・・

 
 
 
 

...Fin

 
 


10万HIT記念に幻想図書館のカオリさんからいただきました〜♪
ネギま!で刹このの同志です(笑)いや、やっぱりせっちゃんはヘタレ攻めだよ(笑)
もちろん、お約束のオチもついてます!(笑)
カオリさんありがとうございました〜♪(キ^^)ノ

管理人:2007/9/26著


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